映画『YADANG/ヤダン』は、2025年上半期に韓国で観客動員数第1位を記録したメガヒット作品であり、『犯罪都市』や『ベテラン 凶悪犯罪捜査班』に続く、韓国ノワール新章[覚醒]クライム・アクションと銘打たれた、骨太で見応えのあるジャンル映画だ。

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【作品概要】
出演:カン・ハヌル(「イカゲーム」)、ユ・ヘジン(『破墓 パミョ』)、パク・ヘジュン(『ソウルの春』)
監督:ファン・ビョングク
2025年/韓国/123分/スコープ/カラー/5.1ch/字幕翻訳: 福留友子/原題:야당/R15 配給:ショウゲート
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【あらすじ】
麻薬犯罪者から情報を引き出し、検察や警察に提供して司法取引を操る、闇のブローカー“ヤダン”。出世のチャンスを狙う検事・グァニに才能を見出され、タッグを組んで次々と検挙を成功させていく。しかし、ある麻薬摘発事件が国家と裏社会を巻き込む巨大な陰謀へと発展し、ヤダンは地獄の底に突き落とされる――。
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作品の核となる「ヤダン」の存在
本作は、韓国に実在する「ヤダン」(야당)という存在を題材にしている。
ヤダンとは、麻薬犯罪者から情報を引き出し、検察や警察に提供することで司法取引を操る、国家権力と裏社会、善悪の境界で暗躍する闇のブローカー(情報屋)を指す。
この映画が突きつけるのは、「正義」を語る側が、情報操作と司法取引によって権力を維持しているという、非常にシニカルな現実。
物語は、「情報」と「嘘」が武器になる時代のサバイバルを描いた、政治スリラー寄りの犯罪映画として楽しむことができる。

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実力派俳優たちの新たな顔
出演陣には、カン・ハヌル、ユ・ヘジン、パク・ヘジュンという韓国を代表する実力派人気俳優が揃い踏みしている。
カン・ハヌルは、これまでの爽やかなイメージを一新し、情報と頭脳を武器に国家と裏社会を操るダークで過激なヤダン役を見事に演じ切っており、その演技は「善悪の狭間を揺れ動く」と評されている。
ユ・ヘジンは権力への欲望に支配された検事を、パク・ヘジュンは荒くれ者ながら情に厚い刑事を演じ、緊迫感ある演技の掛け合いを見せている。
ユ・ヘジンの方が「ヤダン」役にふさわしいように思う人も多いだろうが、なかなかどうしてカン・ハヌルは非常に泥臭い役を好演しており、ユ・ヘジンは嫌味な野心家検事がとても似合っている。

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演技派同士の心理戦は最後まで飽きることがない。
本作の最大の魅力は、息つく暇もないスリリングで予測不能な展開、そしてエキサイトするアクションだ。
最後まで張り詰めた緊張感と、張り巡らされた伏線に観客は息をつく暇もないだろう。
三つ巴の「闇堕ち」復讐劇
物語は、野心に取り憑かれ闇に堕ちた検事、権力の罠にはまり正義を見失った刑事、そしてすべてを奪われた 「ヤダン」という、狂気に満ちた3人の主要人物の対立を中心に展開するが、最初はヤダンとして頭角を現しているイ・ガンス(カン・ハヌル)の活躍が爽快でグイグイと引き寄せる。
巧妙な罠と、口のうまさで麻薬売人の中を自由自在に泳いで罠にはめる様子は痛快そのもので、観ていて気持ちが晴れ晴れする。
これぞ韓国エンターテインメントだと感じる。
「最強のヤダン」として裏社会でのし上がり、検挙を成功させることで兄貴分グァニを中央地検のエリートへと押し上げていくその心情に、グァニと兄弟の契りを交わしたガンスの純粋さが表れている。

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地獄からの復活
物語はある麻薬摘発事件が国家と裏社会を巻き込む巨大な陰謀へと発展し、ガンスは地獄の底に突き落とされる。
この陰謀には、麻薬捜査界の「皇帝」と呼ばれる執念深い麻薬捜査官オ・サンジェ(パク・ヘジュン)も巻き込まれ、犠牲となった。

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その地獄から脱出する場面でガンスは復讐心を燃やしていく。
前半はどこか飄々としてお調子者であった彼が、目の中に復讐の炎を燃やしていくのが丁寧に描かれており、どのように復活し、復讐を企てていくのかが楽しみになっていく。
もう一人の犠牲者サンジェとは、互いの腹を探りながらも復讐の目的をひとつにしていることで信頼関係が成立していき、2人の息のあったアクションや会話のやりとりが小気味よい。
テンポの良さが素晴らしいので、スカッとしたい時に観たい一作だ。

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寒い時期の公開だが、観ていると興奮で心が熱くなってくるだろう。
そしてカン・ハヌルは悪の世界の人物を演じても、爽やかさが残り、それがこの作品の華となっている。

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2026年1月9日(金)新宿バルト9ほか全国公開