【あらすじ】
友人の結婚式で出会ったデヴィッドとサラ。ふたりがレンタカーのカーナビに導かれてたどり着いたのは、奇妙なドア。通り抜けると<人生で一番やり直したい日>へタイムスリップしていた。
ドアはデヴィッドが淡い初恋を経験した高校時代や、サラの母親が最期を迎えた場所など彼らの過去に繋がっており、ふたりは人生のターニングポイントとなった出来事をもう一度やり直すことで、自分自身、そして大切な人たちと向き合っていく…。(HPより)
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【作品概要】
・監督:コゴナダ(『アフター・ヤン』『コロンバス』) ・脚本:セス・リース(『ザ・メニュー』)
・音楽:久石譲(『君たちはどう生きるか』『おくりびと』『千と千尋の神隠し』)
・出演:コリン・ファレル( 『イニシェリン島の精霊』 『THE BATMAN-ザ・バットマン-』) マーゴット・ロビー(『バービー』『スーサイド・スクワッド』シリーズ)
ケヴィン・クライン(『デーヴ』) フィービー・ウォーラー=ブリッジ(『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』「フリーバッグ」)
【雨から始まったあの日】
一目惚れというのがあるのかどうかは知らないが、主人公の二人が出会い、目が合った瞬間、ふたりの「時空旅行」は始まっていたのだろう。
主人公サラ(マーゴット・ロビー)とデヴィッド(コリン・ファレル)は友人の結婚式で出会う。
その日は雨が降っていた。
画面いっぱいに広がるたくさんの傘(結婚式のゲスト達)。
そこへひとつの傘が入り込み、やがてもうひとつの傘が入ってくる。
それがサラとデヴィッドだ。
傘の下から顔を覗かせたふたりはほんの少し見つめ合う。
大人のロマンスを予感させる展開だ。
式のあと、ふたりは言葉を交わすが、互いの出身地を付けて呼び合う。
「都心のサラさん」「北部のデヴィッドさん」というように。
ユーモアの中に「もっと近づきたい」気持ちを含ませているのが、ふたりの表情から分かる。
そこで気持ちを抑えられなかったのはサラだ。
驚くような言葉でデビッドを苦笑させる。
互いに忘れられない相手となるが、まさか不思議な旅のパートナーになるとは思っていなかっただろう。
【ふたりの前に表れるいくつものドア】
それは本当に不思議な旅だった。
ふたりを導くのは魔法使いではない。未来や過去からやってきた人物でもない。
なんとレンタカーのナビゲーションだった。
乗ってしまったものは仕方ない。言われた通りに進むふたり。
どこか楽しそうでもある。
行く先々で待っているのは一枚のドア。ドアの向こうは想像が付かない。

しかしそこはサラの通っていた美術館、デヴィッドの高校。知っている場所だった。
そこで互いの過去を知り、なぜ今の自分があるのかを確認していく。
変えられない過去に向き合うことで、現在の自分の在り方を見つめるのだ。
過去に戻る仕掛けはSF的だが、そこで描かれるのは、誰もが抱える「言えなかったひとこと」「踏み出せなかった一歩」と向き合う、普遍的な感情のドラマだ。
ふたりは後悔や喪失をなぞり直しながら、自分自身を許し、大切な人との関係をもう一度選び直すことができるのかを試されていくというわけだ。
そして、再生していく。
ありがちな物語は、ファンタジーの要素を取り入れることで、非日常的なラブストーリーに仕上がった。
分別ある大人が急接近するために、「不思議なドア」は必要だったのだ。
二人が通り過ぎた数々のドア。
その最後のドアを開けた時、二人が見つけたものは何だったのか。
冒頭のサラの「驚くような言葉」が伏線となっている。
古めかしい一台の車に乗ったふたりのロードムービーとしても楽しめる。

森の中に佇んだドアは、一枚の絵画のように見える。
山に囲まれた広い道を一台の車が走る。それを捉えた空からの映像は、視聴者に開放感を与える。
どんな旅が待っているのか、大人の落ち着いた高揚感を上手に表している。
【久石譲の奏でる音楽】
また、この作品の注目すべき点は音楽だ。
日本を代表する作曲家、久石譲が作品の世界観を形作っていく。
本作品の監督であるココナダはスタジオジブリの大ファン。
宮崎駿監督作品から大きなインスパイアを受けたとコメントしている。
そして、久石譲へ熱烈なオファーをしたという経緯がある。
久石譲にとっても、ハリウッド映画のサウンドトラックを手がけるのは過去の輝かしいキャリアの中でも初めてのこと。
久石もまた、新しいドアを開けたのだ。
12月19日(金)全国の映画館で公開
