🚀映画『終点のあの子』ジャパンプレミア イベントレポート:吉田浩太監督が10年越しの熱望で実現させた、思春期の「普遍的な傷」と「万能感」

【映画『終点のあの⼦』ジャパンプレミアイベント概要】
■⽇程:12⽉1⽇(⽉)17:20の回上映後
■会場:グランドシネマサンシャイン池袋
■登壇者: 當真あみ、中島セナ、平澤宏々路、南琴奈、深川⿇⾐、⽯⽥ひかり、吉⽥浩太
■MC:⼋雲ふみね
■映画公式サイトはこちら

本作は、「ゆらぎやすい女子高生の友情と複雑な心情を鮮烈に描き」、ガールズ系小説の金字塔として絶賛された柚木麻子のデビュー作を原作としています。( 一番下に予告編あり)

【作品概要】

監督・脚本:吉田浩太
原作:柚木麻子『終点のあの子』(文春文庫)

當真あみ 中島セナ
平澤宏々路 南琴奈

製作・配給;グラスゴー15   ©2025『終点のあの子』製作委員会 

監督・脚本を務めた吉田浩太監督は、約10年以上前に原作を読み、その登場人物たちが抱える痛みに強く惹かれたことから映画化を企画しました。

【あらすじ】

私立女子高校の入学式。
中等部から進学した希代子と奈津子は、 通学の途中で青い服を着た見知らぬ女の子から声をかけられた。
高校から外部生として入学してきた朱里だった。父は有名カメラマン、海外で暮らしてきた朱里を希代子は気になって仕方がない。
朱里は学校では浮いた存在でありつつも、羨望の眼差しで見られていた。希代子は朱里と一緒に共に時間を過ごすような仲になり 「親密な関係」になったと思っていた矢先、希代子は朱里の日記帳を見つける(HPより)

監督にとって「奇跡のような映画」となった本作の上映後、主演の當真あみさん(希代子役)、中島セナさん(朱里役)をはじめ、平澤宏々路さん(奈津子役)、南琴奈さん(恭子役)、深川麻衣さん(瑠璃子役)、石田ひかりさん(美恵子役)ら豪華キャスト陣と吉田浩太監督が登壇。満員の観客を前に、誰もが通過する思春期の「傷つきやすい感受性」や「根拠のない万能感」について熱いトークが繰り広げられました。

念願の公開へ喜びの挨拶

MCの八雲ふみねさんの紹介のもと、登壇者が次々に挨拶しました。

周りに合わせながら生きる主人公・希代子を演じた當真あみさんは、来場者への感謝を伝え、「撮影から1年半ほど経っていて、いよいよこうして皆様にお届けできる日を迎えることができたとすごく嬉しく思っています」と、公開への喜びを語りました。

知的で大人びた風格を纏った朱里を演じた中島セナさんは、「少しの間ですが楽しんでいただけると幸いです」と舞台挨拶への期待を込めました。

希代子の親友・奈津子役の平澤宏々路さんは「こうして皆様に観ていただけることをすごく嬉しく思っております」と喜びを表明し、クラスのリーダー格の恭子を演じた南琴奈さんは、映画を観てもらえたことに「すごくドキドキしています」と率直な心境を述べました。

朱里が慕う美大院生・瑠璃子役の深川麻衣さんは、来場者への感謝を伝えつつ挨拶を終え、希代子の母・美恵子役の石田ひかりさんは、会場の雰囲気を見て「普段私が舞台挨拶をしている時の観客の皆さんとはちょっと違いますね」と感想を述べました。

最後に、監督・脚本を務めた吉田浩太監督は、原作を10年以上前に読み、時間をかけて作った映画を観客に見せることができ、「とても光栄に思っています」と、長年の企画の実現に対する喜びを噛みしめました。

吉田浩太監督が描きたかった「思春期の痛み」:原作の持つ普遍的な魅力

これまで一貫して人間の心の奥に潜む衝動や葛藤を描いてきた吉田監督は、MCからの問いに対し、映画化を強く希望した原作の魅力を明確に語りました。

監督は、自身が男子校出身であったにもかかわらず、「登場人物の痛みみたいなものに惹かれた」と述懐しています。さらに、「その痛みについて、自分も分かる部分があったため、映画を作りたいという気持ちが湧きました」と、個人的な共感が映画化の強い動機となったことを明かしました。

吉田監督が特に普遍的だと感じたのは、主人公・希代子が抱く感覚です。監督は、希代子の感覚が「最も普遍性が高く、思春期を過ぎても、ああいう後悔は、おそらく誰にでもある」と感じており、このことから、一番描きたかったのは希代子であると強調しました。原作が持つ、思春期の繊細な感情が大人になっても残す「後悔」や「傷」の普遍性こそが、監督を強く惹きつけた魅力でした。

監督は、女子高生を演じた4人のキャスティングについても言及しました。

當真あみさん:「透明な空気感が傷つきやすい希代子にぴったりでした」。

中島セナさん:自由を求める「独特な空気感、オーラみたいなのをまとっていました」。

平澤宏々路さん:オーディションでの芝居が際立って良く、奈津子の「繊細さを表現する上で重要だったのでキャスティングしました」。

南琴奈さん:恭子がクラスのリーダーでありながら実は繊細な役柄であることに触れ、「南さんに初めて会った瞬間、恭子だと思いました」と、まさに役柄そのものだと感じたことを明かしました。

実生活と地続きなキャラクターへの共感

実年齢も近く、実生活と地続きなキャラクターをどのように捉えて演じたのかという問いに対し、4人はそれぞれ深い共感を示しました。

當真あみさんは、希代子を「“普通の女の子”だと思います」と分析し、周りを伺いながら溶け込もうとしているキャラクターだと捉えました。希代子は「小・中学校の時の私にすごく似ています」と明かし、役作りにおいては「できるだけナチュラルに自分のまま、自然体に演じられるように意識していました」と語りました。

中島セナさんは、朱里が「普通であることを嫌っていて、人と違うことに意味を見出す人」であり、「高校生特有の万能感と自意識の中で揺らいでいる人」だと語りました。

自身も「自由でありたいとか縛られたくないという思い」に似ているところがあると感じており、「この中で一番自分に近いのは朱里です」と述べました。

平澤宏々路さんは、奈津子に対して原作を読んだ時から涙を流すほどの思い入れがあったと語り、「自分のコンプレックスから一人になることにすごく怖さを覚えている女の子」だと説明しました。

他人と一緒にいることで安心感を得る姿が「小学校の時の自分とすごく似ていて」、「“過去の自分を救ってあげられるように”という思いで演じました」と、キャラクターへの愛情を吐露しました。

南琴奈さんは、恭子について、クラスのリーダーのような華やかな一面がありながらも、心の内や脆いところをさらけ出すのが苦手な「不器用さ」があるとし、「切ないなと思うと同時に、愛おしいキャラクターだと思っています」と語りました。

キャストが受け止めた「高校生特有の気まずさ」

4人の物語を見守った深川さんと石田さんは、作品が持つ普遍的な感覚について語りました。深川さんは、4人の「セリフではない時の表情が素晴らしかった」と称賛し、「なんかこの感覚知ってる。見たことがある。聞いたことがある、と感じるような、記憶の奥底が重なる感覚があり、そこがすごく刺さりました」とコメントしました。

一方、石田ひかりさんは、「思春期の女の子たちが抱える特有の気まずさが、物語の最初から最後までずっとありました」と述べました。その気まずさは、大人になると影響が少なくなるものの、「高校生くらいの年齢だと、やっぱり日々の学校生活にも私生活にも影響するものなんですよね」と、思春期の繊細な感覚を懐かしみました。

登壇者が語る「憧れの存在」

本作のキャッチコピー「特別な存在になりたい」にちなみ、それぞれがかつて憧れていた存在についての質問が投げかけられました。

當真さんは、特定の人ではなく、共演させていただいた俳優の皆さん全てが現在進行形で増えている憧れの存在であるとし、「現場での振る舞いやお芝居への向き合い方から、日々勉強というか学びが続いています」と語りました。

中島さんは、ここ数年の憧れとして、好きな漫画や映画などの創作物の表現方法、そして「そういうものを作っている人たちに、尊敬の念を抱いています」と述べました。

平澤さんは、女優の満島ひかりさんに「ずっと憧れ、尊敬している」とし、「その人となりがもう、すべてかっこよくて、こんな人になりたいと思いました」と明かしました。

南さんは、憧れているのは「熱量」であるとし、学生時代に何か好きなことに没頭している友達の姿に強く憧れていたと語りました。

自分だけじゃないという「普遍的な傷」へのメッセージ

舞台挨拶の最後に、當真さん、中島さん、吉田監督から、観客へのメッセージが送られました。

當真さんは、原作や脚本を読んだ時、「痛いところをつかれているような気持ちになりました」と打ち明け、それは後ろめたく思っていたことや過去の後悔からくるものだと述べました。学生の観客に向けて、もし今苦しい思いをしているなら、この作品を見て「自分だけじゃないという点に、少しでも安心してほしい」という気持ちがあると締めくくりました。

中島さんは、10代の頃のいい思い出も苦い思い出も、すべてが今の自分を構築しているとし、大人の方には映画を見て「自分が10代だった頃を思い出すきっかけにしていただきたい」、学生の方には「自分がどういう学生生活を過ごしていきたいのを考えるきっかけになれば嬉しい」と期待を込めました。

吉田監督は、大人たちの多くが学生時代の感受性の傷に蓋をして生きてきたことに触れ、「若い方たちには、そのまま自分の傷というものを見つめていただきたい」とエールを送りました。そして、大人になった方たちにも、「あの時しっかりと傷があったんだということを感じてもらうきっかけにして観てもらえたら」と語り、普遍的な思春期の痛みに向き合う機会を観客に提供したいという思いで舞台挨拶は締めくくられました。

◆吉田浩太監督の作品「スノードロップ」

2026年1月23日(金)よりテアトル新宿ほか全国公開予定