【内容】
731 部隊の闇を裂き、未来を探す医療従事者たちの記録
現代の日本の医療現場が抱える様々な問題の根底には、第二次世界大戦における医療従事者による戦争犯罪の加担と、その隠蔽という事実がある。
石井四郎が 率いた 731 部隊に所属した医師たちは、人体実験で得た”知見”を自らの功績に変え、戦後日本の医学界の中心に上り詰めた。
そうした負の歴史に向き合い、「医の倫理」を掲げて、戦争反対の声を上げる医療従事者がいる。
本作では 731 部隊の真実を追いながら、現在の医療現場が抱える様々な問題に取り組む医療関係者の今を取材。
戦後 80 年の今も、戦争と地続きの私たちの日常に一石を投じるドキュメンタリーが完成した。(プレスリリースより)
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©2025 Siglo
【作品概要】
出演:天羽道子、五十風逸美、池田恵美子、伊藤真美、川嶋みどり、倉沢愛子、胡桃澤伸、小島美里、沢田貴志、 徳田安春、西山勝夫、本田宏、宮子あずさ、吉中丈志
協力:「戦争と医の倫理」の検証を進める会
企画:伊藤真美 プロデューサー:山上徹二郎 撮影:辻智彦、伊東尚輝 撮影助手:小林沙優
整音:永濱清二 カラーグレーディング:辻智彦 音楽:田中教順
編集協力・パンフレット制作:世良田律子 宣伝デザイン:秋山京子
監督・撮影・編集:山本草介
共同製作:安全保障関連法に反対する医療・介護・福祉関係者の会、シグロ
[2025年/77 分/ドキュメンタリー]©2025 Siglo
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【731部隊とは何か】
戦後80年経った今、かつて日本に存在した「731部隊」を知る人はどれだけいるだろうか。それは限りなく少ないに違いない。
だからこの作品が完成したのだ。
731部隊とは、第二次世界大戦中に中国東北部(旧満州)に存在した、日本の旧陸軍の秘密部隊。主に人体実験を行った。
彼らは細菌兵器を開発し、人体への実験を繰り返すなど、非人道的な行為を繰り返していたのだ。
実行していた人たちは誰か。

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それは医師であった。
作品の中ではこの事実が、長きに渡り隠蔽されてきた理由に迫る。
それらを知る人たちがまだ生きているうちに。
彼らは実験に使われた人体を、椅子や机の素材になることから樹木になぞらえて「丸太」と呼んでいた。
そこには当然、人権など存在しない。
【医師たちは悪魔だったのか】
実験に「丸太」を使った医師たちの行為はまるで悪魔の所業である。
人体は何日間で凍傷になるのか――など、その記録は詳細に残されていた。
それがなぜかすべて失われ、医師たちは戦後、咎められることもなく医学界で出世していったのだ。
なぜ、このようなことが起こったか。
そこには、アメリカとの間である驚愕の取引が行われていたのである。
作品を観ていると怒りよりもまず、驚きの方が大きい。
医師一人一人を見ていくと、家庭では良き父であったことも分かる。個人としては決して残虐な人ではなかったのだ。
しかし、やらざるを得なかった。
そして実験をしていくうちに感覚が鈍ってゆく。
【同調圧力の根源を見た】
戦時下、政府の命令に背けば、自分の命が危険にさらされる。
「皆がやっているからいいのだ、これがお国のためなのだ」と自分に言い聞かせ、感覚が麻痺するのを待っていたのではないか。
これは現代社会のイジメにも通じる。
「一緒になってやらないと自分もやられてしまう」
異論を唱えることなどできない状況という意味では、根底にある構造は同じだ。
いわゆる同調圧力である。
日本人の体質であるのか、人間の本質であるのか。
集団になると恐れを知らずに突っ走る。
作品では、医師こそ戦争反対を叫ばなければいけないことを訴える。
戦争で傷ついた人を手当するよりも、戦争が起こらないようにする方が多くの命を救えるからだ。
作品後半は、731部隊のように「なかったこと」とされてきた従軍慰安婦の人たちを紹介する。彼女たちの余生に寄り添った看護師たちの足跡には、頭が下がる。

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誰かが声をあげなければ、すべては忘れ去られてしまう。
忘却は、戦争に加担することと根底でつながっているのではないか。戦後80年を生きるものとして、「忘れない」ことが大切であることを改めて感じさせられた。
そしてこの作品は、1回の視聴ですべてを理解することは難しい。
何回か見て初めて、未来のためにできる具体的なことは何か。それが浮かんでくるはずだ。
戦後80年だから観てほしい。より多くの人たちに届くことを願う。

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202 5 年 1 1 月 2 2 日よりユーロスペースにて緊急公開!