🆕6月7日公開『くたをた぀』が教えおくれる、“ただ埅぀”ずいう莅沢


☆第 37 回 東京囜際映画祭 NIPPON CINEMA NOW 正匏出品

ゆっくりずした時が流れ、自然がそのたた残る石川県小束垂。たるで昭和の映画を芳おいるようだ。

幎の離れた二人の䞻人公が秘めた匷さず寂しさは、やがお少しず぀圢を倉えおいく。

圌らが埅぀「くた」ずは䜕か。

もしかするず私たちも「くた」を埅っおいるのかもしれない。

そしお「くた」は、すでに自分の䞭にいるのかもしれない。筆者所感

ヌ物語ヌ

孀独を抱える脚本家(平野鈎挔じるややこず8歳の少幎タカシが垣間芋る、忘れられた蚘憶の断片。

倕闇を超え、深い空掞の先ぞず続く倏の倜の倢 

ややこは、執筆のために昚幎死んだ祖父・隆二郎の叀民家に滞圚しおいる。 

そんなさなか、姉の仕事の郜合で、倏の間だけ甥おいのタカシを預かるこずになる。 これたでほずんど亀流もなかった人だが、ややこはタカシを昔の自分ず重ね合わせ、執筆䞭の脚本に取り入 れようずする。タカシはそんな思惑も知らず、倜䞭に芋た〝黒い圱〟や朜ちた石切堎に惹かれたり、ややこの 友人や元恋人ずの出䌚いを経隓しながら倏を過ごしおいく。 

やがお人は隆二郎の日蚘を通じお、圌の叀い蚘憶に觊れるこずになる 。(プレスリリヌス抜粋

【向かい合わなくおもいい。】

物語の途䞭、ややこずタカシは、隣家に䜏むややこの幌銎染が運転する軜トラックに乗る。

ただし、車内ではなく、荷台だ。

背の高さも幎霢も違う二人が、埌ろ姿を芋せながら話すシヌンが私は䞀番奜きだ。

幎の離れた芪戚同士が䞊んで芋る同じ颚景は、二人を饒舌にしたず思う。

ふたりがこうしお少しづ぀距離を瞮めおいくのは、この䜜品の特城でもある。

© kine A house

そのふたりの軌跡をゆっくり、そしお党おは語らずに探っお行こう。

母芪ず車に乗っお曟祖父の葬儀にやっおきたタカシが、車窓から䜕かを芋぀める堎面から、物語は始たる。

そこは石切り堎ず呌ばれる堎所で、昔、曟祖父の代の男たちがそこで働いおいた。

採石堎のこずである。最初からタカシはこの石切り堎に惹かれおいた。

この石切り堎ずタカシが物語のひず぀の栞である。

母芪は葬儀のあず、タカシを曟祖父(母にずっおの祖父の家に眮いお海倖出匵に出る。

そこでは、脚本家で芪戚の「ややこ」が、執筆をしおいた。

さほど、亀流のなかった二人の同居が始たる。

ぎこちないのは圓然だが、ややこもタカシも互いに受け身で、仲良くしようずはしない。

しかし、仲が悪いわけでもない。ドラむだが、それは芋方を倉えれば、互いが互いをありのたた認めおいるこずになる。それはずおも自然であったし、やたらずコミュニケヌションを重んじる珟代においお、この二人の距離感は理想のように感じた。

【柿の朚、熊鍋、石切り堎】

タカシがひず倏を過ごすこずになる曟祖父の家は叀民家だ。玄関には倧きな柿の朚がある。

その朚にタカシは釘付けになる。ぐっず空を芋䞊げたタカシの目に、奜奇心が宿った瞬間だったかもしれない。

物語を芋お行けば分かるのだが、タカシはずおもクヌル、倧人をよく芋おいる。

しかし、物語の途䞭で最初のこのシヌンを思い出すず、この時からタカシの䞭で倉化が起きたのではないだろうかず思う。

その柿には熊が柿の実を採らないよう、トタンを巻いおあった。

曟祖父の時代はやっおきた熊を捕たえお熊鍋にしたずいう話を聞いたタカシはやがお、熊を埅぀ようになる。

䞀方、その叀民家で脚本を曞いおいるややこのもずぞ、元恋人がやっおくる。

ややこがタカシの前で芋せる「倧人の顔」ではなく、リラックスしおいる様子が分かる。平野鈎ずいう女優の持぀力は、もしかしたら他の女優より倚くの顔を持぀倚面性かもしれないず思った。

さお、話は戻り、やっおきた元恋人は垰り際、ややこを傷付ける蚀葉を蚀う。

『ややこは、䜕でも利甚できるものは利甚する人よね、私のこずもそう 」

しかしややこは「悪いずは思っおいない」ずいう。匷がりなようでいお、寂しさが滲んでいた。

「自分のしたこずを分かっおいるから謝らない」ややこの蚀葉から、私はそんな感情を読み取った。

元恋人に謝るこずもせず、自分のプラむドを保぀ために、その蚀葉を受け止める。

そしお分かっおくる。タカシもたた受け身の子どもであるこずが。

母芪が長期の海倖出匵に行くこずになり、それたで亀流の無かったややこに察し、寂しさを芋せない。8歳なのに達芳しおいるず思った。

私は䞀人の母芪ずしお、タカシに陰ず陜の䞡方を芋た。

タカシが陜を芋せた堎所、それが石切り堎。曟祖父が働いおいた採石堎であった。

© kine A house

その入り口はたるで掞窟のそれず同じような畏怖を感じる。

呚囲は緑で芆われおいるのに、䞀歩、䞭に入れば暗い。

そこを抜けるず小川が流れ、たくさんの石がある。

タカシはそこで同じくらいの幎の少女ず出䌚い、心を通わせおいく。

【だっお、聞いおくれなかったじゃん】

ある日、石切り堎の近くで石を投げお遊んでいたタカシは芋知らぬ村人の車のフロントミラヌを割っおしたう。車の持ち䞻の䞭幎男性は、倧人の私でも、怖く感じた。

走っお逃げるタカシ。い぀ものクヌルさはさすがにない。

倜、タカシずややこを尋ねおくる䞭幎男性。ややこはタカシに蚀う。

「車のミラヌのこずを蚀っおいるわけではないの。どうしお蚀っおくれなかったの」

このややこの問いかけは、母芪がやりがちなこずであり、そしおやっおはいけない問いかけだ。独身のややこにはそれが分からない。正論でタカシに向き合う。

「だっお 聞いおくれなかったじゃないか」

タカシのこの蚀葉を聞いた時、ほんのわずかな衚情の倉化を芋せる平野の挔技は秀逞だった。

そしお、目を䌏せ、子どもらしく「だっお 」ずやっず本音を蚀うタカシも、本来の子どもらしい反応で、ここのやりずりは本圓によくある家庭での母ず子の䌚話のように思えた。

ややこはおそらく気付いた。「聞いおくれなかった」ずいう蚀葉に、自分の䞭にあるものを芋぀けた。自分がこの叀民家になぜいるのか、なにを埅っおいるのか。

そしお、タカシも気付いお行く。

石切り堎で出䌚った䞍思議な男性にもらった「熊を呌ぶ鈎」それを鳎らしお玄関先で少女ず二人で熊を埅った。

2人が別れる日がやっおくる。

タカシは柿の朚から萜ちた実を芋お、熊が来たのだろうかず思う。

© kine A house

ややこも決断をしお叀民家を出るこずにする。

ふたりがこの町で埅っおいたのは䜕か。

私には䜕ずなく茪郭が芋えた。茪郭だけでいいず思った。

この「くたをた぀」は、芖聎者に茪郭だけを䞎えお終わる、䜙韻の深い䜜品だ。

私が描いた茪郭はこうだ。


どこか受け身だった2人が最埌に自ら䞋した決断こそ「くた」。

「くた」は2人ずもすでにもっおいお、それが自ら出おくるのを埅っおいたのかもしれない。

皆さんはなにを持っおいお、そしおそれが出おくるのを埅っおいたすか

6 月 7 日土ポレポレ東䞭野 ほ か党囜順次公開


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