
2025年4月4日(金)TOHOシネマズ 日比谷ほかロードショー
地球上のある地点にカメラが固定され、その場所に暮らす幾世代もの家族が交差して描かれる愛と喪失、記憶と希望の物語
驚きの映像と予測不能の展開、感動の結末という、最高峰のエンターテインメントのすべてがつまっていた、世界的大ヒット作『フォレスト・ガンプ/一期一会』。ついに監督のロバート・ゼメキス監督、脚本のエリック・ロス、主演のトム・ハンクスとロビン・ライトが再集結を果たした!
あれから30年、待ちわびた私たちに届くのは、恐竜が駆け回る太古の昔から、現代までを往き来する壮大な時間旅行を、ひとつの舞台で描くという、まさに未体験の物語。地球上のある地点にカメラが固定され、その視点が捉える場所で生きるものたちを映し出すのだ。やがて家が建てられ、その場所は家族の集まる部屋となる。いくつかの一家が登場するが、中心となるのがリチャードとマーガレットの夫婦。彼らを演じるのが、『フィラデルフィア』と『フォレスト・ガンプ/一期一会』で2度アカデミー賞🄬を受賞した現代最高の名優トム・ハンクスと、『フォレスト・ガンプ/一期一会』でゴールデン・グローブ賞にノミネートされたロビン・ライトだ。
ゼメキス監督はVFXを使って、ハンクスとライトが10代から70代までをひとりで演じきるという前代未聞の挑戦を成し遂げた。ハンクスとライトはVFXを加えた映像を現場で見ながら、シーンごとの年齢に合うように瞬時に動きを調整するという、キャリア初の革新的な演技を成功させゼメキス監督を歓喜させた。
共演は、リチャードの父親に『アベンジャーズ』シリーズのヴィジョン役で世界中にその存在を知られるポール・ベタニー。その妻のローズには、TVシリーズ「イエローストーン」で数々の賞に輝き、舞台でもローレンス・オリヴィエ賞にノミネートされた実力派俳優ケリー・ライリー。
原作は20か国以上で翻訳され、最も素晴らしいグラフィック・ノベルの一つと絶賛されて2016年にアングレーム国際漫画フェスティバル最優秀作品賞を受賞した、リチャード・マグワイアの「HERE」。撮影のドン・バージェス、音楽のアラン・シルヴェストリなど、スタッフにも『フォレスト・ガンプ/一期一会』チームが集結した。
VFX(ブイエフエックス)とは、Visual Effects(ヴィジュアルエフェクト)の略で、コンピューターを使って映像を加工する技術
この技術があったからこそ、長い人生の物語を紡ぐ本作において、年齢別に役者を変えることがなかったのである。一人の人物が生涯に渡り、作中で生きることが出来たのはVFXの賜物だ。
本作の考察記事を読んで頂く前に、これら特殊技術や、定点撮影の意味など、制作側の強いこだわりを知ってもらいたいので、ご紹介する。
【VFXで10代から老年まで演じるキャストたち】
ゼメキス監督は、ティーンエイジャーから祖父母まで、様々な年齢のキャストをどう描くか、慎重に考慮する必要があるとわかっていた。シームレスで説得力のある老化の感覚を出すため、製作陣はVFXスタジオのMetaphysicと協力し、ハンクスや他のキャストの何千枚ものアーカイブ画像を使用し、俳優のデジタルメイクを作成した。
ホーグはこう語る。「これまでボブは常にテクノロジーの最先端を突っ走ってきたが、今回は基本的にある人物が特定の年齢でどんな姿をしていたかを学習する。テクノロジーに新しい映像を与え、その人をこの年齢に見えるようにしてくださいと指示すると、実際にどのように見えるかを推測する。それは不気味の谷を越え、信憑性があり美しく見えるものへと押し上げる。俳優の微細な表情を伝えるという点では、従来の顔の置き換えよりも柔軟で使い勝手がいい。ボブは特殊メイクは、俳優が自然な動きや感情を出すのが困難になるからと、いつも嫌っていた」
ゼメキス監督は、「本作のように複雑で、異なる時間軸が重なり合う物語を描く場合、同じキャラクターを複数の俳優が別々の年齢で演じると、違和感が出てしまう。このツールを使えば、トム・ハンクスやロビン・ライトのような偉大な俳優が、自分のキャラクターを若者として演じることができる。だから、観客は全くの別人を見て、『ああ、若い頃の彼だったんだ』と思い込む必要がない」と説明する。
撮影現場にはデュアルモニターが設置され、キャストとスタッフは、それぞれの俳優がデジタルメイクを施した時と施さない時の姿をリアルタイムで見ることができた。VFXスーパーバイザーのケヴィン・ベイリーは、「一つのモニターには、生の映像が映し出される。もう一つのモニターには、俳優の幼い顔が入れ替わり、まるで実写カメラで撮影しているかのような映像がリアルタイムで映し出される。だからボブは指示を出しながら、若いトムとロビンの演技を現場で確認することができた」と語る。
そのセットアップのおかげで、各キャストの動きや物腰を、演じる年齢と一致させることができた。ラプケは言う。
「25歳の顔を60歳の姿勢のトム・ハンクスに当てはめることはできても、トムがその顔に合うように立ち居振る舞いを調整できるかは別の話だ。役者たちがモニターで見たものをもとに調整していく姿には驚いたよ」
ベイリーは、「デジタルメイクがどれだけうまくいっても、そのメイクが施された演技が十分に説得力のあるものでなければ意味がない。俳優がリアルタイムのフィードバックを得ることは、映画を成功させる上で非常に重要だった」と付け加える。
【本作のために開発されたレンズによる一つのカメラアングルでの撮影】

ゼメキス監督は原作のグラフィック・ノベルの革新的なストーリーテリングを称賛する。「この小説は地球上のある視覚的な場所が舞台であり、その周囲で世界が変化する。作者のマグワイアは、同じ風景の中にコマを描くことで、グラフィカルに表現している。この物語を映画化するにあたり、我々は変わらないビジュアルを用いることで、異なる物語が対話しているかのように時間を超えて響き合う感覚を表現した」
本作のドラマはすべて一つの場所で展開する。そのため、ゼメキス監督は登場人物の人生を広い視野で捉えようと、一つのカメラアングルだけを使うというユニークな撮影スタイルを採用した。ゼメキス監督は、「この物語の伝え方を決めるために、映画製作に一生分を費やした。一つのカメラ位置から何世紀もの時を経て展開する映画では、すべてのシーンがそのフレームの中で機能しなければならない。簡単なことのように聞こえるが、すべてのシーンをすべての時代のすべての登場人物に対応させるためには、想像を絶するほど複雑なセットになる」と語る。
撮影監督のドン・バージェスは言う。「実は、我々は天才のダン・ササキの指導のもと、パナビジョン社で新しいレンズを開発した。特別な見え方を模索して被写界深度を探していたんだ。ボブが役者に動きを指示しシーンを構成して、最小限のピントから無限遠までストーリーを語れるように、カメラの完璧なアングルと高さを探していた」
しかし、カメラを動かしたり調整したりすることができないため、俳優の身長差のような要素にはクリエイティブなブロッキングが必要だった。「小さな溝を作って歩いたよ」と身長190cmのポール・ベタニーが笑う。「”ポール・ベタニーの溝”、これらのパーツがすべて出てきて、それをテトリスのようにはめ込んでいくんだ。時々、カメラの下に人がいて、別の人が歩いている時に入れ替えたりしていた。だから僕がカメラに近づいても、実際には斜面を下っているから画面内に映り続けるんだ」
【LED技術による移り変わる窓の外の景色】
製作陣はまた、LED技術を使ってセットをより豪華で臨場感のあるものにした。ベイリーは言う。「昨今では、バーチャルプロダクションと呼ばれる、視覚効果のプロセスを実際にセットに持ちこむやり方を採用している。本作では、部屋の窓の外に見えるものすべてが、大きなコンピュータースクリーンに映し出された映像で、高性能のゲームエンジンが外の近隣を作りだしている。つまり、視覚効果はもはやポストプロダクションだけのものではなく、実際に撮影中にも行われている」
ゼメキス監督は、「最初は様々な季節や時間帯があるから、窓の外にブルースクリーンを設置するのが当然だと考えていた。だが、LEDスクリーンはリアルタイムで照明を変えることができる素晴らしいものだ。『太陽の位置をもう少し低くしてほしい』と言えば、ダイヤルを合わせるだけで窓の外の影が長くなる。ポストプロダクションに何週間もかけて完成を待つ必要もない」と語る。
バージェスは、「LEDは照明をリアルに感じさせる。LEDが発する光のコーヒーテーブルや鏡、ペンキで塗られた壁や床への当たり具合が、この照明の売りであり、現実感を出している」と説明する。
【歴史的背景を徹底的にリサーチした美術と衣装】
プロダクションデザインのアシュリー・ラモンは、本作に登場する様々な歴史的環境、家の中、LEDのあらゆる面をデザインするために徹底的なリサーチを行った。ラモンは、「セットのあらゆる面でアートディレクションを行わなければならない。すべてのショットがワンテイクで、何も手を加えることはできない」と振り返る。
ゼメキス監督は、「本作は個々の瞬間からなるサーガだ。だから、衣装でも各キャラクターの本質を伝えると同時に、観客をそれぞれの時代に引き込まなければならなかった。それぞれの時代において、そのキャラクターが誰であるかを示さなければならない。これだけ多くのキャラクターが登場すれば、たくさんの衣装チェンジをして、様々な時代に合わせて使いこなし、ワイドショットやクローズショットで、それらをすべて効果的に使わなければならない。それがとても重要なことだった」と回想する。
最先端の技術から古典的な特殊効果に至るまで、技術的な選択のすべてが組み合わさり、身近でかつ壮大なスケールの物語が描かれている。プロデューサーのビル・ブロックが考え深げに語る。「我々は今、24時間に1度自転し、時速約1600キロで移動する球体の上にいるが、それを感じることはない。本作も同じような感覚を呼び起こす。哲学者ヘラクレイトスはこう言った。『人は同じ川に2度足を踏み入れることはない。人は変化し、川も変化するからだ』 流動性、一過性、可変性という概念こそ、この物語が描いているものだ」